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『オアシス:ネブワース1996』は、過去25年間で音楽シーンにとって最も象徴的なライブイベントとして語り継がれている1996年8月10日と11日にハートフォードシャー州ネブワースで開催されたコンサートを、グラミー賞受賞者ジェイク・スコットによる音楽ドキュメンタリー映画だ。

ー オアシス:ネブワース1996 – アップリンク京都

オアシスの1996年のライブを取り上げた話題のドキュメンタリーをアップリンク京都で見てきました。オアシスの映画といえば2016年の「SUPERSONIC」も劇場で見ましたが、兄弟喧嘩が中心で音楽要素少なめだったアレと比べると「ネブワース1996」はダイレクトに音楽の魔法に心動かされる作品でした。

まず音楽的には、絶頂期のバンドが持つ無敵感たるや。長い社会の不景気と若者の憂鬱をオアシスが吹き飛ばしてくれた!という希望が満ち満ちています。一方でバンドは早くもこの段階でピークを迎えてしまっていたわけで(これからも続く商業的な成功とは裏腹に)、1997年の3rdアルバム以降、急速にフォローするのに冷めてしまった自分の感覚も間違ってなかったんだなあということもわかりました。




個人的には、当映画のもうひとつの主役であるネブワースの観客たちと自分がまさに同世代(つまりいまはおじさんおばさん)ということのシンクロ感。Morning Glory を聞き倒して鴨川沿いを自転車飛ばしながら歌ってた青春時代を思い出し、目頭も熱くなりました。





このドキュメンタリーではやたらと「伝説」「歴史」という言葉が出てきます。そうか、いまオアシスは伝説になっているんだ!

1996年当時の自分は、少なくともオアシスのコピーバンドを組むくらいには熱心な極東のリスナーであった自分は、このバンドがロックの歴史にどう刻まれるかなんて一切考えていませんでした。

当時の軽音サークルの仲間たち(ほとんどはHR/HMキッズあがり)は、オアシスの楽曲の良さは認めつつも「なんでギターミュートしないんだよ!」「ブラーと喧嘩してるゴシップバンドだけどね」と斜に構えていたし、貴重な情報源であった音楽雑誌では「ビートルズの忠実なフォロワーmeets 90年代ノイズギター」のような表現をするライターもいて、マンチェスターの若者がそうかんたんにロックの偉人と肩を並べさせるわけにはいかないよという雰囲気もあった記憶が。

それが25年経って、このドキュメンタリー映画の「この瞬間ロックの潮目が変わった」という表現を受け入れることで僕たち同時代勢ははじめて、1996年オアシスの伝説化を受け入れることができた気がしいます。それは、過ぎ去った青春にラベルを付けて丁寧に箱に入れる作業と言うこともできます。



そして1996年のさらに25年前の1971年に発表された作品はこんな感じで、ウッドストックは1969年、ワイト島フェスティバルが1970年でした。

  • レッド・ツェッペリンⅣ
  • Imagine by ジョン・レノン
  • 展覧会の絵 by エマーソン・レイク&パーマー
  • マスター・オブ・リアリティ by ブラック・サバス
  • 電気の武者 by T.レックス
  • Maggot Brain by ファンカデリック

僕らがハイティーンのとき「ロックの教科書」で学んでいた名作たちが勢揃いです。

ワイト島フェスティバル(1970)⇔オアシスネブワース(1996)⇔現在(2021)がほぼ等間隔。

感覚的には信じがたいこの事実を思い知らせてくれたのがこの映画の最大の収穫だったかも。
同時代にいては潮目なんてわからないものなんですね。



本来なら当時現場に居た人しか見られなかった超貴重な映像の連続により、かねてからのオアシスファンも、最近オアシスを知った人も、世代を超えた全ての音楽ファンが歴史的なライブを追体験できる映画になっていますので、ぜひスクリーンでお楽しみください。

ーオアシス:ネブワース1996 | culture-ville

映画館には10代20代のロックファンも足を運んでいるとのこと。彼らにとって1996年のオアシスは、僕らの時代のジミヘンやドアーズ、ウッドストックやワイト島フェスティバル足り得ているのでしょうか?

(そうなのだとすると、彼らが現在も音楽シーンで活動するノエルやリアムを結構冷静な目で見ているのかもしれません。僕たちが90年代にロバート・プラントやポール・マッカートニーを見ていたように)

ちなみにネブワース1996のオアシスの前座はケミカル・ブラザーズ、マニック・ストリート・プリーチャーズ、シャーラタンズ、オーシャン・カラー・シーン、デビューしたてのプロディジーだったそうです。



・・・最後にもうひとつ。
劇中の描写で印象的だったのが「インターネットも携帯電話もなかった最後の時代」というフレーズ。

そんな潮目の時代に僕たちは遅めの青春を謳歌していたーーー

そういった事実もやっぱり、後から遠い目をしながら振り返ることでしかわからないのでした。






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