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Facebook上場で一段落、ではない―関心ベースのソーシャル・ネットワーク多数が急成長中

Techcrunchのインタレストグラフについてのこの記事中で、pinterest、 instagram、 foodspotting などのおなじみのサービスにならんで列挙されていた Thumb(2011年12月まではOpnionaided という名称) というサービスについて、日本語の情報がほとんどなかったので自分で使ったり調べたりしてみました。

Thumb

なぜ今ごろ1年以上も前にリリースされたサービスを調べようとしたかというとこのような関心から。
  • 昨年facebookと連動した投稿サービスを作る際にQAサービスも含むCGMサービスをいろいろ研究した
  • 海外のQAサービスとして日本で話題になるのはQuoraがほとんど(位置情報との組み合わせでlocalmindなんてのもありましたが)
  • 一方日本国内のQAサービスと言うと、OKWaveやY!知恵袋のような古参のサービスはともかく、ソーシャル系のサービスはユーザー規模と継続性という面でまだまだ苦戦している現状
そんな中で、Twitterのような「つぶやき系リアクション」はさておき、赤の他人からの質問に、実名もしくは半実名で真正面から回答をするという行為が日本人の市民権を獲得するには、まだまだ難しい中でThumbに俄然興味が湧いてきたのでした。

つかってみた

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さっそく、アプリをダウンロードして使ってみました。というのはQuoraと違ってWebページもあるのはあるのだが、デザインも簡略的な「一応ある」レベル。メインはアプリ内でQAを行うサービスらしい。

Facebookアカウントでサインインできるのでさくっとログインしてみる。例によって既にアプリを利用しているFacebookの友人がリストアップされるのだが1名だけ!これは(自分の交友範囲に対しては)珍しいことです。

仕方が無いので友達なしではじめてみる。いきなり「Askしようぜ!」と言われるがさしあたり、困っていること悩んでいることもないので、「Vote」のタブに移動して、どこぞの(米国の)誰かのユーザーの質問に応えるのだけど・・・

どれも他愛もない質問ばかり。なるほどQAサービスと言ってもだいぶんカジュアル。

「我が家のディナーなんだけどどうだい?」
「この映画おもしろかったかい?」
「スイスは美しい国かい?」

思ったのは「こいつら誰も困ってはいないなw」
Thumb up / Neutral / Thumb down の3択でコメントは任意で、何かリアクションしないと次の質問を見ることすらできないのでサクサクと自分の「意見」をタップしてすすむことになります。

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正直めちゃくちゃ面白いわけじゃないけど、まあ暇つぶしには悪くないかな程度のテンション。

・・・ということでだいぶん質問のハードルは低いことはわかったところで自分でも質問をしてみました。
 
Thumbでの質問投稿は画像投稿(検索結果から引用もできる)が必須。Thumbのユーザー全員に無作為で訊く事も(デフォルト)、Thumb上の友達だけに訊くことも、ThumbにいないFacebookの友人をinviteしつつ訊くこともできる。
よしここはアメリカのユーザーをびっくりさせようと、先日同僚と楽しんだ生肉処で撮った一枚で投稿。
 

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ASK:生の牛肉のお寿司です。

しまった。もはや質問でもなんでもない。画像ネタだ・・・

・・と思って編集とか取り消しとかできるのかな?と思うか思わないかのうちに、iPhoneのPushが連呼しだした!慌てて「Results」のタブに行ってみると、その時点で10件を超える回答がついていたのでした。

10000人以上のフォロワーを抱えるTwitter有名人ならともかく、無名の日本人がネット上に放っただけの他愛もない質問がこんなにリアルタイムで回答されるなんてびっくり。言葉と文化が違うアメリカ人からでもこうなのだからこれはおもしろいかも。

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結局生肉のAskは10分ほどで81件の回答(ほとんどが激しいダメ出し!)を集めました。
あまりに連呼されたので「yuck」という言葉を覚えましてしまいました。


さてさて、次はアメリカ人も大好きなはずな旬なネタで投稿してみよう。

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ASK:日本の駅の看板なんだけど、クールでしょ?

目黒駅に1週間ほど掲示されていたヴァン・ヘイレンの新譜の巨大看板。アメリカ人ならみんなVH大好きだよね?ね?
・・・と思ったら

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そうか、日本語しか入っていないし、文字ばっかりだからそもそもVHの新譜だということが伝わらなかった・・・真面目にコメントしてくれた方に申し訳なくなりました。。

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多くの「Thumb Up」を獲得するのはなかなか大変なものです。



Thumb の特徴

さて、そんな自分の致命的な英語力のなさはさておき、、ざっと触ってみてわかったことは
  • QAなのにすぐに一定以上の人から回答がもらえる
  • QAなのにアーカイブ性はない、回答の全体結果は質問者にしか見えない
  • QAなのに質問するのも回答するのもかなり気軽にできる
というあたりでしょうか。
以下、いくつかのニュースサイト・Tech系ブログからの拾い読みで補足します。

The company has seen impressive engagement within its iOS and Android apps. On average, responses start to arrive only six seconds after being shared and users receive between 50 and 100 responses to questions overall.
たった6分ほどで50〜100の回答を得ることができる
 
Mobile Q&A App Opinionaided Rebrands As Thumb | TechCrunch

But its killer quality is that it’s also highly addictive.
決定的な特徴は中毒性が高いということ。
 
The most valuable characteristic of the app is its ready and assembled army of responders.
最も価値のある特色は、常にたくさんの回答者が控えていることだ
 
 An engaged userbase is quite an accomplishment for a startup that launched its current product less than a year ago.
1年以内にこれほどの熱意のあるユーザーベースを獲得できたことは極めて偉業である
 
Want An Honest Opinion? Ask Opinionaided

Thumb resembles other question and answer services like Yahoo Answers and Quora, but its focus on opinions instead of facts is fairly unique.
QuoraやYahoo Answersと比べて事実よりも意見を重視しているところがユニークだ。
 
Opinionaided rebrands as Thumb, targets Facebook with plans for an opinion-based social network | VentureBeat

面白いことに、Opinionaided利用者の平均年令は24歳だ。だからたぶん利用者は若い世代のiPhoneのようなデバイスに慣れている層に偏っている。そしてOpinionaidedはウェブ上でも使えるが、90%はモバイルからの使用だとのことだ。
 
Opinionaided リアルタイムで回答が返ってくるモバイルQ&Aサービス: 海外スタートアップ系ニュースを翻訳する

20代の若者間に流行っており、平均毎日2~3時間使うようだ。また、たまにふざけた解答もあるので、神経質の方は不向きかもしれない。そして、多少はまりやすい傾向があるため、節度ある使い方を進めする。
 
質問・解答サービス提供会社Opinionaidedがソフトバンク等から融資430万ドル | 中国インターネット新聞

中毒性のあるコミュニケーション、ひまつぶし

記事を読んだ感想としては「こういうのもQAサービスもありなのかー」「コミュニケーションサービスにも限り無く近いよね」「(米国でも)世代間の感性の差は大きいんだなあ」ということ。

おそらくThumbを楽しんで日常的にすすんでVoteを行っている若者は、ネット上で他人に実名・半実名でコメントをすることやダメ出しをすること(絡むこと)に抵抗感はいっさいないし、さらにThumbというサービスは、集まってくる「意見」をあえてアプリの中に閉じることで、スピード感と熱量のある世界をつくることで、彼らをうまく取り込もうとしています。

僕は、このアプリを楽しむ行為は「意味のあるひまつぶし」なのでは?と感じました。
 
現在日本で猛威を奮っている(!?)「ソーシャルゲーム」の理解の仕方を、「バーチャルまたはリアルの人のつながりをエンジンにして楽しくひまつぶしができる中毒性のあるゲーム的な何か」とすると、Thumbは「バーチャルまたはリアルの人のつながりをエンジンにして楽しくひまつぶしができる中毒性のあるQA的な何か」であって実は類似性は高いんじゃないかという気がします。そう、「ソーシャルQA」と言ったときの「ソーシャル」は「ソーシャルゲーム」のそれと同じじゃないかと思ったり。
ゲーミフィケーションという言葉を出すまでもなく、ポジティブでハマる雰囲気作りが功を奏しています。

Web2.0的な考え方だと、CGMとりわけ集合知を求めるサービスって、仕掛けておくとじわじわコメントが付いてきてpermalinkとなりSEOでロングテイルだぜ、というのが王道だったのですが、モバイルでソーシャルな2012年においては瞬速でヒートアップして過ぎ去っていく刹那的なコミュニケーションも成り立つという事実・可能性を感じることができました。

過去記事)Webサービス × Gamification(ゲーム的味付け) × Optimism(楽観思想)という仮説 | Blog Start All Over
ソーシャルゲームとソーシャルQA。違いがあるとすれば「自分のアクションが誰かの生活の役に立つ(こともある)こと」と「無料であること」。
(もちろんThumbを使った悪用もできないわけはないですが)


蛇足、それでもわからないこと

・・・と、好意的なレポートをしてみたものの、自分にとってはこれほど早いレスポンスを短時間に返してくれる「An engaged userbase」があることが未だに信じられないし、また、これほどカジュアルなコミュニティの中で冒頭のTCの記事にあった有益なインタレストグラフができるのかどうかもわかりません。

さらに、、、

Kurani, who raised a $1.2 million round earlier this year, says he hasn’t nailed that part of the business down yet, despite exploring options involving professionals who want to use Opinionaided to showcase their expertise. 
プロの専門家を誘致するなど模索したりしていているにも関わらずまだビジネス的な成功には達していない
 
Want An Honest Opinion? Ask Opinionaided


Thumbに上がっている質問のすべてが「どうでもいいコミュニケーション」ではありません。自分がちょっと触っただけでは見つけられなかっただけでしょう。Thumbにはジャンルごとに「トップコメンテーター」なんて称号や彼らを指名して質問するというオプションがあるように、運営側は「今すぐ詳しい人に訪ねたい」を解決できるサービスと、興味(とそれに対するレス意見)が高度にスコアリングされたつながりを真剣に創りだそうとしています。

The rebrand is the first step towards turning Thumb into a full-fledged social network built around opinions. Early next year, the company will add the ability for users to express their opinions more widely and better connect with others, Thumb CEO Dan Kurani told VentureBeat in an interview.
このたびのリブランド(Opinionaided から Thumbへ)は意見を元にしたソーシャルネットワークへの発展への第一歩だ。
 
Opinionaided rebrands as Thumb, targets Facebook with plans for an opinion-based social network | VentureBeat


「意見」をベースにしたソーシャルネットワークとは、どういう形になるのか、「人」をベースにした既存のソーシャルネットワークとどうつながるのか(あまりつながらないのか)。
 
例えば・・、もしFacebook に買収されて「クエスチョン機能」の一部になったときに、Thumbの「面白さ」はなくなってしまうような気がします。

今後のThumbの生き残りのための動きに注目です。




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